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小説をちらほら
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    僕は今日、掴む1ー1


    ・前回の変更点としてセリムの身体的な成長具合が人より早いことにしました。 

    ・エルリックの他の子供たちはログアウトしました。作中におさまらん!書く文才もないんじゃい!! 







    《セリム視点》 

    * 


     幼い時の記憶はもう大分、薄れているから聞かされた話も含めて補修すると… 

     エドワードさんはあの日ーープライドの本体を取り出してーーから、たまに母と僕を訪ねるため、屋敷に来ていたそうだ。何回かウィンリィさんも来てくれていたとか。遊んでくれる数少ない大人の一人としてすごく嬉しかった。確かに、5歳くらいの時も肩車して〜と、何度もねだった覚えがある。 

     比べる子供が周りに居なかったし、人間では無いことやホムンクルスは何処がどう違うのかを、気にするほどの思考は4歳頃の僕にはまだ無かった。 
     やがてエドワードさんとウィンリィさんのところに子供が産まれてから、僕は自分自身の身体に違和感を覚え始める。長男と長女の2人と比べると、年月の割りに僕の成長は早かったように小さいながら思った。 

     エルリック家の2番目に産まれた女の子は兄の真似を何でもしたがって、後を離れずずっとついて行く子だった。当の兄も妹を連れ回すのが好きみたいだ。そのせいでか、妹は小さい体なのに無茶をしてよく転んで泣いていたっけ。 
     本当に危なっかしい事をしようとする時は僕がその妹の手を握って止める。そうすると、兄が走り回ってるのを羨ましそうに目で追い、頬を膨らまして不貞腐れるものの、手を振りほどかずに僕の横で大人しくなる。「セリムおにいちゃんなんか、きらい」と、付け加えられて。 
     ある時には遊び疲れて庭先で寝てしまい、僕が背負い親の居る処に届けることも度々あった。 
     だからつまり、エルリックの家族たちは僕のそういった人と違う身体を自然と目の当たりにし、変わらずに関わってくれていたんだ。 
         
     全てを知った上でずっと育ててくれた母や、15の時に母を亡くし何処にも行く当てのない僕に、独りじゃ寂しいだろうと迎え入れてくれたエルリックの家族。それだけでもう充分だった。 


     でもこれで終わりじゃない。新しく始まったリゼンブールでの暮らしはこれからだ。 
     最初は慣れるまで少し大変だった。なにしろセントラル市内から離れた郊外の屋敷暮らしとは、大分違ったから。屋敷にも庭がありそれなりに緑や池もあった。だけど自然でなく、精巧にデザインされた庭園。ビオトープ要素も含ませいるらしく鳥や虫も誘われて来てはいたけど、流石に大型の動物はいなかった。 
     村の何処かで羊が出産だとなれば何もしらないど素人でも構わず、男手が欲しいと手伝いに行き、毛を刈ったり、畑を耕し、夏の収穫には春はありがとうとたくさんの野菜をエルリックの家に持ち帰ったり。もちろん筋肉痛は酷いもんだった。だけど、全てが楽しい。動物たちが産まれてくる瞬間、幼い時に助けた小鳥が再び羽を広げて飛んで行く姿を思い出したり、力強く生きている様はやっぱり何よりも僕を励ます。 

     此処での暮らしのいろんなことを学び、覚えて、それから同時に、母と交わした約束を果たすために夜は勉強した。 
     “僕は、医者になるよ。 
     絶対に治すから、待っていて。それまで死なないで……” 

     泣きそうになるのを抑えながら言うと母は、起き上がれなくなったベットに横たわりながら、「楽しみね。それまでちゃんと此処に居るから」 

     絶対に、もしもの事を起こさせない。覚醒させない。 
     医者になり人の命を救う人になる。 

     その二つが母と交わした約束だった。 


     それから3年。 
     最初に述べたように、僕に取っては感覚的にもやっぱり人間とは時間の流れが違う。今、見た目では二十歳くらいにはなるだろうか。けれど、人間に取っては区切りになるようで、あの“約束の日”から胎児に戻って18年目になった頃、軍部から一通の郵便が僕宛に届いた。 

    「一度、精神及び身体検査をしたいから来てくれ」と要請があった。 
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